2015年05月17日

構内区間と非設区間/非設区間と非設位置

メトロ線内において、なかなか見えない場所ゆえにいまひとつよく分からない「構内区間」「非設区間」そしてATC切換スイッチの「非設位置」とは何なのかについて解説したいと思います。

・構内区間と非設区間
構内区間は駅の側線や車両基地から本線へ接続している部分であり、この区間は保安装置を有しATC下に置かれます。
これに対し非設区間は車庫内です。
車庫というのは留置線ではなく、車両基地とされる場所の事です。
どちらも入換信号により運転し、どちらも「入換運転」と呼ばれますが、非設区間にはATC等の保安装置がありません。

・非設区間と非設位置
15051702.jpg
車両にはATC切換スイッチという、保安装置を切換る為のスイッチがあり、ここに非設というポジションが存在します。
非設区間はATCがない、つまり無信号区間であり、ATCでは無信号はフェールセーフの概念から絶対停止(×が現示される)となっているため、ATC切換スイッチを「ATC」位置としてこの区間に進入すると車両は非常ブレーキにより停止するようになっています。
この時、走行できるようになるのが「非設」位置です。

ここで間違えないで下さい!と思うのは、非設位置はATC信号の無い区間を「走る時に有効なもの」であり、非設としたからといって
ATCの節制を受けなくなる、無効化されるという事ではありません。
仮に非設位置の状態でATC区間を走行したとしても、ATC自体は動作するようになっています。

ATC位置: 
ATC無信号区間  非常ブレーキが動作する
ATC有信号区間  ATCが動作する

非設位置: 
ATC無信号区間  走行できるようになる
ATC有信号区間  ATCが動作する

となります。
勿論、ATC区間においてはATC位置で走行する事と定められていますので、ATC切換スイッチの位置が不適切であれば切換を促す警報が鳴動等します。
しかし、その状態であっても保安装置が無効化されているような事は無く、ATCは動作している状態になります。
ATC区間でATCの節制によらず運転することは不可能あり、それがATSと違い機械優先であるATCの大前提となります。
唯一の例外が、異常時に使用する「非常運転スイッチ」です。

・じゃあ、構内位置ってなんなの?
15051703.jpg
構内位置は、従来型のATCにおいて構内区間を走行する「構内モード」でATCを動作させる必要があったことから設けられた切換え位置です。
数年前までは有楽町線の一部に残されていましたが、新型のATCでは構内区間は車上装置により自動的に切換わる様になっている為、現在では基本的には使用する事がありません。
従来ATCから新型ATCへ更新した路線、千代田、有楽町、半蔵門の3路線では移行期間の為にこの位置が設けれていますが、ATSやWS-ATCから一気に新型ATCに更新した銀座、丸ノ内、日比谷、東西の各線では構内位置は当初より省略されています。
15051701.jpg

なんでこんな事を書こうかと思ったのかというと、少し前に、千代田線で小田急改造を行ったJR車がATCの機能しない状態で運転したという事故がありまして、ネット上に「非設」で走った!「非設」で走った!というコメントが結構あったんですね。
いや、それはあり得ないなーと思ったんです。
「非設」って、文字や語感からは確かにそういうイメージもがしないでもないですが、違うんですよ。

しかしこの話を出すとひとつ矛盾がでてきてしまいます。
「ATC区間でATCの節制によらず運転する事は不可能」にも関わらず、「ATCがが無効化された状態で運転」



(^^;;;;;;
posted by しゃとるーむ at 21:25| Comment(2) | 雑談
この記事へのコメント
はじめまして。
ずっと前から質の高いBVEデータばかりでいつも楽しませてもらっております。


千代田線のJR車のATCが機能しなかった件ですが、私の推測を書かせて頂くと、やはり「非設」で運転したのではなく、「小田急」の位置で運転してしまったんだと思うんです。

E233系の改造後のATC切替SWが「非設-ATC-(小田急)」の順になっており、非設からATCへ回そうとした勢いで小田急位置まで行ってしまったんだと思うんですが、数年前の東京総合車両センター一般公開でE233系の小田急対応改造の詳細が書かれたポスターが貼られていて、その中の文章の一部をそのまま書きますと、

・小田急仕様が未定なため、制御機能ソフトを入れずに出荷しています。
・D-ATD-P電源NFB、D-ATS-P検索記録部NFBを「切」とし、封印。
(小田急保安装置に関わる制御電源を全て切りとする処置)
・ATC切換スイッチの「小田急」ポジションを封印。
(非設/ATC位置に小田急が加わるための保安処置)
・ATS非常運転スイッチを「入」定位とし、スイッチレバーを撤去。
(D-ATS-P車上装置の力行回路短絡、常用ブレーキ指令開放、非常ブレーキ回路短絡するため)
・速発分配箱CN2/3への接続は可搬式ATS-P専用速発配線を接続する。
(乗入れ後は小田急用を接続する予定)

というように小田急の設備は封印された上にソフトウェアが未対応という状態になっているはずなのですが、ATC切換スイッチの封印が不十分で小田急位置まで動くようになってしまっていたのではと思います。
なのでソフトウェア上では小田急に対応していないにもかかわらず、スイッチがソフト上で想定されていない位置に入ってしまったことでソフトウェアの動作がおかしくなり、車内信号が点灯しているにも関わらずブレーキが動作しないという現象が発生してしまったのではないでしょうか。

Posted by 中央線沿線住人 at 2015年05月18日 00:43
はじまして。
コメントありがとうございます。

丁寧にご説明くださいまして恐縮です。
私もほぼ同じ事を考えておりましたが、JR側における改造の詳細(機能仕様が未確定であったなど)は存じ上げておりませんでした。

そのお話を伺うと、ほぼ裏付けとなる根拠も揃ったと思ってよさそうですね。

ATC切換スイッチの物理的な封印は事故後に全車行われので、それまでは「小田急」の銘板を裏返して使用していない状態とする事を「封印」としたのではないかと推測されます。
Posted by ぐりぃん・しゃとる at 2015年05月24日 23:38
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